揺れる角界に差す光。大鵬の孫が、急逝した恩人の想いを胸に初土俵へ (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 夏巡業が終わって間もない9月8日、友鵬さんは60歳の若さでこの世を去った。それからしばらくして、友鵬さんが自身の入門を何より楽しみにしていたことを聞かされた納谷は、「友鵬さんの期待に応えられるような力士になって、恩返しがしたい」と強く誓った。

 友鵬さんだけでなく、4年前の1月19日に亡くなった祖父も天国から見守っている。生前、昭和の大横綱からは「力士になれ」と強要されたこともなく、相撲に関して口を出されることもなかったというが、納谷はひとつの言葉を胸の中にしまっている。

「何をやるにしても、どんな時でも、とにかく一生懸命やりなさい」

 祖父の遺言ともいえる"一生懸命"。友鵬さんから教えられた"本物の四股"。父からも「自分の決めた道だから、頑張りなさい」とエールをもらい、それらを糧に日々の稽古に励んでいる。

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