豪栄道よ、屈辱の大失速を自身の糧に。元大関・霧島が叱咤激励エール

  • text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 豪栄道は呆然と立ち尽くしていた。大相撲秋場所の千秋楽、日馬富士との優勝決定戦で一気に寄り切られた。

優勝決定戦で日馬富士(右)に敗れた豪栄道(左)優勝決定戦で日馬富士(右)に敗れた豪栄道(左) 3横綱が不在となった秋場所は、11日目まで1敗を守った大関・豪栄道が、1年ぶり2度目の賜杯を手にすると誰もが信じていた。しかし、12日目、13日目と、まさかの連敗。なんとか14日目には白星を手にしたが、千秋楽では星ひとつリードしていた横綱・日馬富士に本割で敗れ、続く決定戦でも完敗した。まさに天国から地獄。悪夢のような逆転負けに、豪栄道は「いつか、これがあったからよかったと言える相撲人生にしたい」と言葉を絞り出すのがやっとだった。

 秋場所の賜杯を逃しただけでなく、優勝した日馬富士に準じる成績ながら、昇進を預かる審判部の二所ノ関部長(元大関若嶋津)からは、「来場所は綱取りの場所にはならない」との見解を示された。豪栄道は、賜杯と綱取りのチャンスを一気に失ってしまったのだ。

 屈辱にまみれた秋場所。豪栄道の15日間の戦いは、失うものばかりだったのだろうか──。そこに、「そんなことはない」と待ったをかけたのが、元大関・霧島の陸奥親方だ。今回の経験は、豪栄道にとってかけがえのないものになると親方は力説する。

「目の前に優勝が見えて、本人にしてみれば『よし、いける』という気持ちになったと思う。それが、終わってみれば優勝を逃してしまった。これほど貴重な経験は、やりたくてもできるものではない。だからこそ、これからの豪栄道に必ず生きるはずだ」

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