ピンチで浮かんだ「伊調の逆転勝ち」。高橋・松友組が金メダル (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 また、松友は「自分たちがやってきたことを出せば大丈夫だというくらいに準備をしているし、いろいろなことを経験してきているので。それに私たちは別に世界ランキング1位を目指しているのではなく、今まで勝てなかった相手に勝ちたいとか、自分たちが楽しいと思えるようなバドミントンをしたいと思い、本当にバドミントンを純粋にやっているのだと思います」と説明する。

 松友は初めての五輪の感想を聞かれると、意外なことを述べた。

「今回の五輪は長かったけど、試合をどんどんやっていくうちに『たぶん五輪で最後と決めている選手がたくさんいるだろうな』と思ったら、自分の中ではそれがすごくつらくなってしまって......。いろんな選手たちがいたからこそ今の自分たちがあるのだと思うと、何か『もう戦えないのかな』と思って悲しくなってきました」と言って、目を潤ませる。

 そんな繊細で素直な心を持つ松友と、1年先輩として、高校時代から松友の繊細さを包み込みつつ、持ち味の強打のように自分たちへの自信をストレートに表す高橋。そんな真逆ながらもバランスのとれたペアだからこそ、初出場の五輪でしっかりと優勝という結果を残せたのだろう。

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