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スポルティーバ句会。名句はスポーツシーンから生まれる......  (2ページ目)

  • 石塚 隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • 村上庄吾●写真 photo by Shogo Murakami

 そして、全員の並選、特選をまとめると、このような結果になった。

選句する段階では、作者はわからない。披講、点盛、講評ののち、やっと作者が明かされる選句する段階では、作者はわからない。披講、点盛、講評ののち、やっと作者が明かされる

 1番の評価を受けたのは6点を獲得した『凡戦やツバメがピッチを賑わせる』(作者・杉山茂樹)である。特選にした者が2名おり、講評では「凡戦」と「ツバメ」の関係性について語られた。

  ●堀本評
 おもしろいのは、最初の五音、これを「上五」と言うのですが、ここで『凡戦や』ときて、つまらない試合だなとわかります。また『や』というのは「何々だなあ」という詠嘆が含まれる切字と呼ばれるものです。そして一拍置いて『ツバメがピッチを賑わせる』となり、ツバメが飛んでいる情景が目に浮かぶ。ツバメが飛んでいることで、試合を邪魔するわけじゃないけど、「凡戦が」より際立っている。あと何の試合かはわからないのですが、『ピッチ』という言葉から、何となくサッカーが見えてきます。ただ、『ツバメ』というのは実は春の季語なんです。一方で夏の季語として「夏燕(なつつばめ)」というのがある。ですから、私ならば、この句を『凡戦やピッチ行き交ふ夏燕』というようにします。

●高森評
 僕はこれを特選にしたんですが、ツバメが低く飛んでいるということは、気圧が低くて今にも雨が降りそうなんじゃないかと思ったんです。どんよりとした天気の光景が見えましたし、そういった意味で凡戦がより引き立っている。なによりも最初の『凡戦や』という部分の、スパッと切れている感じが効いているなと思いました。

●作者(杉山)評
 これは考えたというよりも、ふだん現場でよく見る光景を句にしました。ふつうなら上空を飛んでいるツバメが、盛り上がっていない試合だから低く飛んでも大丈夫みたいな。面白くない試合は、どうしても集中が切れてしまって、飛んでいるツバメに目が行ってしまう。僕はプレイヤーではなく観戦のプロとして、いつも感じていることをそのまま書きました。

 堀本氏の『~夏燕』の添削に一同感動。また、ツバメの習性まで汲んだうえで、句を解釈した高森氏の選評にも感心した。

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