ソチ五輪後の髙梨沙羅。大学生になってさらに成長中

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 築田純●撮影 photo by Tsukida Jun

 1月10日の女子ジャンプW杯札幌大会初日。2本目を飛んだ髙梨沙羅は、無駄のない動作で空中姿勢を完成させると、向かい風のなか98mまで飛距離を伸ばした。この結果、1本目97mで2本目もトップを守った髙梨が今季初勝利。髙梨は両手を空に突き上げて喜んだ。

札幌で開催されたスキージャンプW杯で連勝した髙梨沙羅札幌で開催されたスキージャンプW杯で連勝した髙梨沙羅「納得できるジャンプができているわけではないのですが、今できることをちゃんとやらなければいけないと思っていました。その中でも2本目は、現時点でのいいジャンプができたと思います」と、髙梨は笑顔で語った。

 大会前は悪天候で練習ができず、この日が6日ぶりのジャンプ。そのため、1本目の飛距離は出たが、踏み切りからの動きが少し鈍かった。それを髙梨は2本目で改善してきた。父・寛也さんも「久しぶりに飛んでまだ感覚がつかめていなかったが、2本目は修正して無駄のない踏み切りをしていた」と評価する。

 翌11日は、風の条件が悪かった1本目で87mの7位という予想外の結果になったが、2本目は最長不倒の97m。逆転優勝でW杯連勝を果たした。

 それでも髙梨は、「冬シーズンに入ってから、何となくしっくりこない」と言う。

「今はまだ勝てるレベルに達していないと思うから、やらなければいけないことが本当にたくさんある。もっと前進していかなければという焦りもあった。あれもこれもやらなくちゃいけないというのが頭の中にあって、切羽詰まっています」と課題を口にする。

 髙梨は昨年2月のソチ五輪後、4月から飛び級で日体大へ入学して本拠地を東京に移した。

「大学では違う競技の人たちと話したり、トレーナーや教師などを目指している人たちとも接して、自分の世界観が広がったと思います。そういう刺激を受けて競技に臨めているのはよかったと思うし、同じクラスはみんな年上のお姉さんやお兄さんで、すごく優しくしてもらっています」

 そう語る髙梨は、明るい表情を見せた。

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