【大相撲】「日本人横綱」誕生の可能性を秘める4人の逸材

  • 福留崇広●文・写真 text&photo by Fukutome Takahiro

 大相撲初場所が11日に両国国技館で初日を迎える。注目は、横綱・白鵬(宮城野部屋)が大鵬を抜いて前人未到の優勝33回を達成するか。そして、関脇2場所目の逸ノ城(湊部屋)の快進撃がどこまで続くのか。いずれも興味が尽きない見どころではある。一方で初場所を迎えて思うことがある。あれから9年も経ってしまったのか......と。

「あれから」とは2006年初場所、栃東(現・玉ノ井親方)の優勝のこと。以来、日本人力士が天皇賜杯を抱いた場所は一度もないのだ。国技と謳(うた)われる大相撲で、この現実は寂しすぎる。昨年は、58日間も満員御礼が出るなど、右肩上がりで人気復活を見せた土俵だが、さらなる上昇カーブを描くには日本人力士の活躍は不可欠だろう。それが日本人横綱の誕生なら言うことはない。初場所は、"平成の大横綱"貴乃花が2003年に引退した場所でもある。それは12年も日本人横綱が存在していないことを意味する。

 新しい年を迎えるたびに、この「空白期間」を更新している大相撲。毎年のように語られているが、改めて日本人横綱の誕生を期待したい。誰が最も近いのか。新星はいるのか。この1年を展望しながら可能性を探っていく。

将来性豊かな輝(かがやき/右)。師匠は 元安芸乃島、高田川親方将来性豊かな輝(かがやき/右)。師匠は 元安芸乃島、高田川親方

 綱に最も近いのは、やはり大関、稀勢の里(田子ノ浦部屋)だろう。昨年は綱取りがかかった初場所で右足の親指を負傷し、千秋楽に初の休場を経験。7勝8敗で負け越し、カド番に追い込まれるなど苦しい一年だった。ケガの影響は思った以上に長引き、思うような相撲を取りきれなかった不本意な年だった。それでも勝利数3位は、大関の中でも限りなく綱に近い地力を持っていることを証明したと言える。

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