2014.10.26

【月刊・白鵬】横綱が語る、話題の逸ノ城の「本物度」

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

第43回:逸ノ城

9月場所で、千代の富士に並ぶ31度目の優勝を果たした白鵬(中央)。大相撲秋場所(9月場所)は、
若き「新星」の登場に沸いた。
モンゴルの巨漢、逸ノ城である。
優勝争いまで演じたその”大器”について、
横綱が語る――。

 スポーツの秋――私たち大相撲力士一行も、10月10日からの秋巡業で全国各地を回っています。

 秋巡業の初日は、神奈川県・横浜市。開場が13時で、打ち出し(終了)が20時というナイター興行でした。通常、巡業は朝8時から15時くらいまでというスケジュールですが、開催時間を遅らせることで、昼間仕事をしているサラリーマンの方々も観戦が可能になります。おかげで、この横浜巡業では仕事を終えた方々が夕方以降にたくさん足を運んでくれて、大いに盛り上がりました。各土地によって、さまざまな状況があると思いますが、こうした試みも時には必要だな、と思いましたね。

 さて、先の大相撲秋場所(9月場所)は、ひとりの”若武者”の登場もあって、連日大入り。満員御礼が、15日間中14日間も出るという、近年では稀(まれ)に見る盛況な場所となりました。

“若武者”の名は、逸ノ城。モンゴル、遊牧民族出身の21歳です。

 十両だった名古屋場所(7月場所)でも、優勝決定戦に進出。優勝こそ、元三役の栃ノ心に譲ったものの、13勝2敗の好成績を残しました。当時はまだ、「おっ、意外にやるな」というくらいの印象しかありませんでしたが、初土俵から5場所目という、脅威のスピード出世で新入幕を果たした実力は本物でしたね。

 前頭10枚目で挑んだ秋場所、逸ノ城は初日から6連勝。7日目に前頭5枚目の勢に敗れたものの、その1敗をキープして、全勝の私にぴったりとついてきました。

 新入幕の力士というのは、幕内の先輩力士たちがその相撲っぷりを研究していないこともあって、初日から勝ち星を重ねることがよくあります。それでも、上位陣との対戦となると、そう簡単には勝てないものですが、逸ノ城は11日目に組まれた大関・稀勢の里との一番をはたき込みで勝利。翌12日目にも、新大関の豪栄道を上手投げで仕留めてしまったのです。

 連日の大関戦にも臆することなく、堂々とした相撲で白星を重ねた逸ノ城。「モンスター、現る!」と、各メディアにも大々的に取り上げられ、国技館を埋め尽くしたファンの方々も、彼の相撲にクギ付けとなっていました。