【レスリング】4連覇するも吉田沙保里「やっぱり中国は強敵」
9月特集 アジア大会2014の発見!(21)
仁川アジア大会・レスリング競技。女子スタイルに出場した日本の4選手の明暗を分けたのは、アジア最大のライバル――中国との戦いだった。
中国選手に足を奪われ、苦しい表情を浮かべる吉田沙保里 9月8日から14日にかけてウズベキスタンの首都タシケントで行なわれたレスリング世界選手権には2番手を派遣し、温存した1番手をアジア大会に起用してきた中国。その並々ならぬ意気込みで今大会に照準を合わせてきたライバルに、「世界最強女子チーム」を誇る日本は警戒を強めていた。
先日の世界選手権で2連覇を果たし、2016年リオデジャネイロ五輪の金メダル候補筆頭に躍り出た48キロ級の登坂絵莉は、アジア大会前、「これだけ短い間隔で減量したのは初めて」と不安をのぞかせていた。そして、いざフタを開けてみても、試合前のアップで足がつったり、身体にじん麻疹が出るなど、万全の体調とは程遠い状態......。若き日の吉田沙保里を彷彿させるような、タックルを中心とした活きのいい戦いぶりは、そこにはなかった。
だが、慎重な試合運びで韓国・李有美との初戦を制すると、続く2回戦のエルデネスフ・ナラングレル(モンゴル)戦では10-0のテクニカルフォール勝ち。その後、決勝戦まで駒を進めると、昨年の世界選手権51キロ級チャンピオンである中国・孫亜楠を相手に得意の両足タックルを決め、常にリードを保つ安定した展開でアジア大会初出場・初優勝を果たした。
「中国をはじめ、アジアのレベルは高く、ヨーロッパの選手のほうがやりやすい。世界選手権優勝で過信し、動きが硬かった......。まだまだ挑戦者としてがんばります」
強敵・中国を倒して優勝したものの、試合後、登坂は迫り来るアジアの脅威を素直に認めていた。
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