【月刊・白鵬】一気に頭角を現した、新横綱・鶴竜の「正体」 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 振り返れば、新入幕を果たした2004年夏場所は、まだ私も19歳でした。同場所では12勝を挙げて、敢闘賞をいただきました。千秋楽には、横綱・朝青龍関と優勝争いをしていた前頭1枚目の北勝力関(現・谷川親方)と対戦したことを、今でもよく覚えています。

 その翌月には、北京・上海巡業に参加。新入幕ながら、上海巡業の2日目には、優勝力士になったんですよ。あの頃は、大横綱の朝青龍関と私とでは、天と地ほどの力の差があったと思いますが、横綱との対戦では浴びせ倒しで勝利しました。流れの中でたまたま勝てたのですが、あのときは本当に信じられませんでした。10代でまだ若かったですし、どんな相手だろうと関係なく、全力で向かっていった結果でしょうね。

 何にしても、「横綱に勝つ」ということは、力士にとっては自信になるもの。この夏場所の4日目には、遠藤が新横綱の鶴竜を破って金星を挙げました。遠藤は若手らしく、自分の持っているモノを存分に出し切った感がありました。彼にとって、忘れられない一勝になるでしょう。一方、負けた鶴竜は、館内に座布団が舞う光景を見て、横綱の“責任”というものを改めて感じたのではないでしょうか。

 ところで、もうすぐサッカーのブラジルW杯が開幕します。先日、同大会に挑む日本代表メンバーも発表されて、私自身も徐々に「W杯モード」に入ってきています。テレビ観戦がメインですが、私はサッカーも大好きなんです。W杯における日本代表の活躍を、本当に楽しみにしています。

 なかでも注目しているのは、岡崎慎司選手、長友佑都選手、そして香川真司選手の3人です。3人とも、海外のトップクラブに在籍し、そこでの奮闘ぶりには目を見張るものがあります。実力、実績的にも申し分なく、W杯でも大いに活躍してくれるのではないでしょうか。

 岡崎選手は、どん欲にゴールに向かっていく姿がすごいですよね。あの気迫あふれるプレイには、いつも圧倒されています。長友選手も非常にアグレッシブで、最後まで息切れしないスタミナの豊富さに驚かされます。とても礼儀正しくて、おじきをするパフォーマンスも大好きです。香川選手とは、実は個人的につながりがあるんです。その分、“親戚”のような気持ちで見守っています。

 世界の強豪国が集結するW杯。簡単な戦いなどないと思いますが、まずはグループリーグを突破してほしいですね。そして、チームが一丸となって、ぜひとも初のベスト8進出を果たしてほしいと思います。

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