2014.05.19

【月刊・白鵬】一気に頭角を現した、新横綱・鶴竜の「正体」

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

第38回:鶴竜

「3横綱時代」に突入した大相撲。左から鶴竜、日馬富士、白鵬。初日から白熱した戦いが繰り広げられている
大相撲夏場所(5月場所)。この場所から
鶴竜が横綱となり、「3横綱時代」に突入した。
そんな新たな時代を迎えての意気込みと、
新横綱・鶴竜について、白鵬が語る――。

 5月11日から始まった大相撲夏場所(5月場所)。両国国技館には初日から多くのお客さまが詰めかけてくれています。

 それほど、今場所も見どころがいっぱいです。まずは何と言っても、新横綱・鶴竜の誕生で3横綱時代に突入したこと。そして、先場所12勝3敗と好成績を残し、大関昇進を狙う関脇・豪栄道の奮闘ぶりが注目されます。さらに、初のちょん髷(まげ)姿で登場している遠藤(前頭4枚目)の動向や、幕内下位で奮闘するエジプト出身の大砂嵐の活躍などにも熱い視線が注がれています。

 さて、先の春場所(3月場所)のあと、横綱に推挙された鶴竜は、4月に行なわれた春巡業から横綱土俵入りを披露しています。私と日馬富士の「不知火型(※)」とは違って、鶴竜は「雲竜型」。昇進から日が浅いにもかかわらず、丁寧かつ力強い土俵入りを見せています。

※不知火型と雲竜型との大きな違いは、せり上がるときの両手の動き。両手を広げるのが不知火型で、左手を胸の近くに当てて右手を上げる雲竜型。

 かつて、1横綱、6大関(日馬富士、稀勢の里、把瑠都、鶴竜、琴欧洲、琴奨菊)時代がありました。当時、ひとり横綱を務めていた私は「大関6人の中から、早く誰かが横綱に上がってこないものか」と、横綱として一緒に戦う存在を待望していました。

 その際、「次期横綱」にもっとも近いと思っていたのは、把瑠都(昨年の9月場所直前に引退)でした。続いて、稀勢の里。横綱・双葉山関の69連勝という大記録に挑んでいた私の連勝記録をストップさせた彼とは、「因縁」と称された攻防がいろいろとありましたし、「日本人横綱を!」というファンの期待も大きかったので、それが実現することを心底願っていました。