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【月刊・白鵬】実り多き2013年。横綱の「5大ニュース」 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 3つ目は、春場所に続いて夏場所(5月場所)でも全勝優勝できたこと。特に14日目には、好調・稀勢の里との全勝対決を制し、横綱の責任を果たせた思いでした。これで通算優勝回数は25回となり、入門以来目標だった朝青龍関の記録に追いついた、ということでも印象深いですね。

 4つ目は、名古屋場所(7月)の優勝です。前述したように、13日目の相撲で脇腹を痛めて本当に苦しい場所でした。その分、つらかった思い出でもあります。

 脇腹を故障したのは初めてで、その痛みはまさに「激痛」という表現がぴったりの激しいものでした。そのため、千秋楽の夜の打ち上げでは、恐る恐るお酒を口にしたのを覚えています。でも、飲み始めてしばらくすると、痛みがどこかに消えてしまったのです(笑)。そのまま美酒に酔いしれて、15日間の戦いを終えた充実感に浸っていましたね。

 最後のひとつは、個人的な話題です。私は、3年前から北海道で『白鵬米』というブランドのお米を作っているのですが、今年の6月、初めて母国・モンゴルでもそのお米の田植えをすることができたのです。

 1年のうち、日本で言う「春」と「夏」の季節が短いモンゴルでは、これまで稲作は難しいとされてきました。けれども、独自の技術で可能となり、ついに今年、実現できたのです。「将来、モンゴルの農業の発展につながればいいな」と、私は明るい未来に思いを馳せています。

 また、番外編として、こんな出来事もありました。それは、まだ記憶に新しい九州場所(11月場所)14日目、大関・稀勢の里戦でのことです。

 13日目まで終えて、私は全勝でした。一方、稀勢の里は11勝2敗。この場所で「優勝に準ずる成績を残せば、横綱昇進もありえる」という状況を考えれば、稀勢の里にとってはもう負けられない重要な一戦となります。その分、稀勢の里の気迫は高まっていました。前日に日馬富士を破った勢いそのままにぶつかってきて、私は上手投げで敗れてしまいました。

 負け残りの私は悔しい思いを秘めて、土俵下で結びの一番を見守ることになったのですが、そのとき"事件"は起こりました。勝った稀勢の里が結びの一番に向かう力士に水をつけている際、観客席から稀勢の里の勝利を喜ぶ「バンザイ!」コールが起こったのです。初めは少人数でしたが、やがて大きなコールとなって、館内に響き渡りました。

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