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好調・男子ジャンプ陣を支える。横川朝治HCの独自理論

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真 photo by Tsukida Jun

 今シーズン男子ジャンプ陣が好調だ。11月23日に開幕した今シーズンのW杯の全7戦で竹内択と葛西紀明、伊東大貴が2位、3位、3位と表彰台に上がり、1試合だけあった団体戦も3位に入った。

好調なジャンプ陣を指揮する横川朝治HC好調なジャンプ陣を指揮する横川朝治HC 12月15日のティティゼ-ノイシュタット大会終了時点のW杯ランキングでは竹内が3位、葛西が5位、伊東が次大会予選免除のシード権獲得圏内の10位に1点差でつける11位。この日本男子ジャンプ陣の好調さは国際的にも注目され、日本チームが21日から始まるスイス・エンゲルベルグ大会の欠場を発表すると、国際スキー連盟ホームページでジャンプ競技のトップ記事にあがるほどだ。

 そんなチームを率いるのが、バンクーバー五輪翌シーズンからチームを指導する横川朝治ヘッドコーチ(HC)だ。

 長野県白馬村出身でジャンプ選手だった横川HC。選手としては明大を卒業して北野建設に入社し、3年で現役を終えた。その後は長野県のジュニアのコーチを3年務めたあと、北野建設スキー部のコーチとして呼び戻された。当時の北野建設監督は日本代表ジャンプチームをHCとして指導して、1998年の長野五輪で金2、銀1、銅1の成果をあげた小野学氏(故人)。

 横川HCは理論派として知られる小野氏の直系といえるコーチだ。

「ジュニアを教えられなければ何をやってもダメだからという話で、会社の営業をしながら長野県の中学生を担当したんです。その子たちが全国大会で勝つようになった頃に複合の荻原健司たちが北野建設に入ってきて、彼らを見ろということでスキー部に呼び戻されたんです」

92年アルベールビル五輪、94年リレハンメル五輪の団体で金メダルを獲得し、ノルディック複合W杯では通算19勝をあげている。

クロスカントリーから学んだジャンプのコツ

 当時はV字ジャンプが始まったばかり。荻原健司に続いて入ってきた双子の弟、次晴などに結果を出させるため、V字の進化など予測しながら日々研究を行なっていた。だが複合の場合はクロスカントリーも見なければいけない。同じスキー部の佐藤志郎クロカンコーチに教わりながら、その指導にも力を入れた。

「僕が幸運だったのは、ジャンプだけではなくクロスカントリーも覚えたことだと思います。練習に行って選手が走り出すと2時間近く帰って来ない。それで自分もクロスカントリースキーを履いてゆっくり走って、そこでスキーを滑らせるテクニックを覚えたし、発想の幅も広がった。ジャンプだけだったら引き出しが少ないまま終わっていただろうし、ルールや条件がどんどん変わる中で、それに対応して工夫する能力も身につかなかったと思いますね」

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