【体操】リオ、東京五輪で期待大。人材豊富な男子体操界の未来

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

種目別の床で金メダルが決まり笑顔の白井健三(右)と祝福する内村航平種目別の床で金メダルが決まり笑顔の白井健三(右)と祝福する内村航平 9月30日から10月6日まで、ベルギーのアントワープで開催された世界体操選手権。王者・内村航平は史上初の個人総合4連覇を達成した。彼の"世界一美しい体操"は常に高い評価を受けるものだが、この大会でもうひとつ注目を集めたのは、日本体操界の若い力だった。

 その筆頭が高校2年生、17歳の白井健三だ。

 白井の活躍は大会前から期待されていた。世界選手権代表最終選考会だった6月29、30日の全日本種目別選手権の床運動では、大会1週間前にぎっくり腰になって痛み止めを飲んでの出場ながら、決勝では最後にF難度の後方伸身宙返り4回捻りを入れるなど、Dスコア(演技価値点)7.3点の構成で15.900点を出し、初の世界選手権代表を決めていたからだ。

 この得点はロンドン五輪種目別優勝の鄒凱(ゾウ・カイ/中国)の得点に0.033点及ばないだけで、銀メダルの内村の得点を0.100点上回るもの。種目別で世界選手権と五輪を通じての日本史上最年少金メダルリストになることを期待されていたことに加え、跳馬の伸身ユルチェンコ3回捻りとともに後方伸身宙返り4回捻りを世界選手権で成功させれば、その技に"シライ"を命名されるという話題もあったのだ。

 両親がコーチをするクラブで3歳から体操を始め、小さな頃からトランポリンで捻りや回転を楽しんでいた白井。「これまで緊張したことがない」というほどの度胸の良さで、初の世界選手権代表が掛かった大事な場面でも高難度の技をアッサリとこなしてしまった。

 そして内村が「ひねり過ぎて気持ち悪い」とまで言う捻りの鋭さは世界選手権の大舞台でも存分に発揮された。

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