【月刊・白鵬】尊敬する大鵬さんからもらった心揺さぶるメッセージ

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

先日他界した大鵬関の孫3人が参加するなど、大いに盛り上がった今年の『白鵬杯』。先日他界した大鵬関の孫3人が参加するなど、大いに盛り上がった今年の『白鵬杯』。第23回:大鵬関

初場所(1月場所)の最中、
突然亡くなった大鵬関。
白鵬関が敬愛してやまない
偉大なる横綱との思い出を綴る――。

 私が尊敬する大横綱、元大鵬関の納谷幸喜(なや・こうき)さんが急逝されたのは、大相撲初場所(1月場所)中の1月19日のことでした。

 とにかく「信じられない!」。それが、第一報を聞いたときの、私の正直な気持ちでした。なぜなら、大鵬さんが体調を崩されたことを知った私は、(亡くなる)2日前に病室にうかがって、会話を交わしたばかりだったからです。そのときは、思いのほかお元気な様子だったので、私はホッとして病院を後にしたのですが......。本当に残念でなりません。

 モンゴルで過ごした少年時代、私は大鵬さんが活躍されていた頃の雑誌や、取組の映像などを見て育ちました。というのは、モンゴル相撲の横綱を務めた父(ムンフバト氏)が、日本の相撲界にも詳しく、昔の資料などを見るにつけ、私にいろいろなことを熱心に教えてくれたからです。日本とロシアの血が流れている大横綱。肌は透き通るように白く、端正な顔立ち。そのうえ、相撲がとんでもなく強くて、人気者......。父が東京オリンピック(1964年)に出場した当時、大鵬さんはまさしく日本の大スターで、それを知る父から私はかなりの影響を受けました。

 その後、私が来日して相撲界に入門したとき、大鵬さんは国技館内にある相撲博物館の館長を務められていました。しかし、入門まもない新弟子がお話をするなどということは、夢のまた夢。立場が違い過ぎて、当時は遠目からその姿を見ているだけでしたね。

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