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【世界フィギュア男子】鍵山優真VSイリア・マリニンはSPが勝負の分かれ目 五輪の3枠獲得も油断できない状況 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【完成度で挑む鍵山優真】

 対する鍵山は、完成度で勝負する。

 今季のフリーの4回転は、フリップとサルコウ、トーループ2本の4本構成にしていた鍵山。300.09点で優勝した昨年11月のGPシリーズ・NHK杯の公式練習では、4回転ルッツを跳んでみせた。そのルッツについては、「12月の全日本選手権までには(構成に)入れる予定はないが、その先には......」と話していたとおり、年が明けてから実行に移した。

 だが、今年1月のワールドユニバーシティゲームズではそのルッツは1回転になり、優勝はしたものの合計289.04点にとどまった。さらに、2月の冬季アジア大会では、ルッツを「q」判定で転倒。後半も崩れて、チャ・ジュンファン(韓国)に逆転負けの結果になった。

 その後、世界選手権に向けては、4回転ルッツを入れない構成でプログラムの完成度を上げることをめざすと明言。シーズン前半戦のフリーの構成でまだ完全なノーミスの演技をしていない現状では、妥当な選択だろう。

 今大会でまず、鍵山がめざすのは2022年北京五輪で出した自己ベストの310.05点を上回ること。さらに、北京の団体戦で記録したフリーの自己最高208.94点を更新することだ。

 そして2025年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を考えれば、今大会でSPとフリーをノーミスでそろえた納得の演技をして、マリニンとどのくらいの差があるかを確認することも必要だ。差を明確に知ることで、五輪でのマリニンとの対決に向け、4回転ルッツ導入などの長期的な戦略を立てられるからだ。

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