全日本は坂本花織が復調で4連覇達成か ジュニア女王の島田麻央にも初優勝のチャンスあり
全日本選手権2024プレビュー 女子シングル編
12月20日に開幕するフィギュアスケートの全日本選手権の優勝争いは、3連覇中の坂本花織(シスメックス)が一歩抜け出している状態。一方、3月の世界選手権代表3枠の争いとなると、これまでにない熾烈な戦いになりそうだ。
全日本選手権で優勝候補筆頭の坂本花織(左)とジュニアながら上位候補の島田麻央(右) photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る
【坂本花織は4連覇へ復調なるか】
優勝候補筆頭の坂本は今季を、2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪へ向け、「いろいろ試せるシーズン」と位置づけているとあってか、成績に波がある。それでもコンディション不良を解消し臨んだGPシリーズ2戦目のNHK杯では、彼女らしいはつらつとした滑りで合計得点を2022年北京五輪シーズン以来となる230点台に乗せ、今季世界最高の231.88点を獲得した。
「試したいことを試している最中なので、今回だけの成功ではなく、次もその次もやってこそだと思います。試合を重ねるごとに『よくなったね』と言ってもらえるように」
NHK杯後にそう話した坂本だったが、12月上旬のGPファイナルは「調子が悪かった」と、キレのない滑りになってミスを多発。SP4位発進から総合3位に上げて表彰台には乗ったが、合計は201.13点と納得できない結果だった。
ただ、GPファイナルで気持ちが切り替わったのは確かだろう。全日本選手権は、シニアデビューの2017年に2位になって平昌五輪代表を勝ち獲り、その後は優勝4回という強さを見せている。GPファイナル5位から全日本で優勝した2022年のように、今回も復調を期待したい。
しかし、坂本も完全に安心できる立場でない。GPファイナルの記者会見では「GPファイナルに出たメンバーに加えてジュニアの選手たちも全日本に出るので、本当に誰が勝つかわからない」とコメント。ジュニアGPファイナル3連覇を達成した島田麻央(木下グループ)の存在を意識しているのは明らかだ。
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著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。