坂本花織からのプレゼントに大興奮? GPファイナル初優勝の25歳アンバー・グレン「人生って何が起こるかわからない」 (3ページ目)
【日本選手たちとの思い出】
ーー今回のGPファイナル女子シングルは、6人中5人が日本選手でした。この状況はいかがでしたか?
まるで全日本選手権だと、皆さんが言っていましたね。国際大会で日本選手はいつも礼儀正しくて、親切で、一緒に試合に出るのが楽しみなんです。皆さん経験豊富なので、ホテルから会場への移動や、何時間前に会場入りするかなど、試合運びがプロフェッショナル。日本チームについていけば安心、と思っています(笑)。全日本選手権はもっと大変な戦いになりますね。世界選手権の出場枠がもっとあったらいいのに、と思います。
ーーこれまで10年のシニアでの大会で、日本選手との思い出はありますか?
たくさんありますよ! 一番の思い出は、数年前の試合で、(坂本)花織が『SPY×FAMILY』の登場人物のステッカーをくれたことです。ふたりともそのアニメを観ているので、その話で盛り上がったんです。私にとっては憧れのスケーターなので、「あのカオリ・サカモトと話をして、プレゼントまでもらっちゃった!」と興奮しました。
ーー日本選手とは交流が深いのですね。
いえいえ、私にとって日本の女子選手は、遠い憧れの存在です。2014年世界選手権の(樋口)新葉の『スカイフォール』が大好きで、何度も何度も観ました。本当にすごかったです。翌シーズンのフリーで、私も使ったくらいです。そして2018年北京五輪の新葉の『ライオンキング』も感動しましたし、トリプルアクセルに大きな刺激を受けました。北京五輪は花織のフリー『WOMAN』は本当に迫力があって、圧倒されました。そんな選手たちと、今こうして一緒の試合に出ていることが夢のようです。
ーーそれでは全米選手権、世界選手権に向けての目標をお願いします。
今回のGPファイナルでは、氷に降りた瞬間、大きな声で自分にこう言い聞かせました。「あなたは、この舞台にいる。自分の力でここまできたんだ。やるんだ」と。今回は、緊張やプレッシャーの中、パーフェクトな演技ではありませんでした。演技というよりは、技術をただ並べていっただけ、という感覚。なので、全米選手権、世界選手権に向けては、1つのパッケージとしての演技になるように、もっと中身を改善していきたいと思います。最高の気分で氷に乗りたいと思います。
【プロフィール】
アンバー・グレン Amber Glenn
1999年、アメリカ・テキサス州生まれ。14歳から国際大会に出場し、2014年全米ジュニア選手権で優勝。シニア移行後は、代表に入れない時期もあったが、2023−2024シーズンのエスポー杯3位でGPシリーズ初表彰台。2024−2025シーズンは、ロンバルディア杯で国際大会初優勝を飾り、GPシリーズのフランス杯、中国杯、GPファイナルとすべて優勝。
著者プロフィール
野口美惠 (のぐち・よしえ)
元毎日新聞記者。自身のフィギュアスケート経験を生かし、
ルールや技術、選手心理に詳しい記事を執筆している。 日本オリンピック委員会広報としてバンクーバーオリンピックに帯 同。ソチ、平昌、北京オリンピックを取材した。主な著書に『 羽生結弦 王者のメソッド』『チームブライアン』シリーズ、『 伊藤みどりトリプルアクセルの先へ』など。 自身はアダルトスケーターとして樋口豊氏に師事。20 11年国際アダルト競技会ブロンズⅠ部門優勝。
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