村元哉中・高橋大輔「かなだい」に続けるか? アイスダンス「あずしん」「うたまさ」が感じた世界との距離 (4ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【かなだいに続けるか】

 国内でアイスダンスのブームを起こしたかなだいが、あらためて快挙を成し遂げていたことがわかる。カップル結成3年目で全日本選手権優勝、世界選手権11位。世界トップ10にあと一歩まで迫った。

 シングルを続けてきた高橋にとっては、別種目の挑戦だった。それも一度現役復帰し、再び引退したあとで甦っている。年齢的ハンデ、膝の古傷との暗闘を続けながら、アイスダンサーに変身したのだ。

「僕はゼロからのスタートで、成長しかありませんでした」

 高橋はそう語っていたが、2年目でアイスダンサーになる実感を得たのは、天性のセンスと渾身のトレーニングのおかげだ。

「アイスダンスを始めたばかりの大ちゃん(高橋)が、ここまで変われたのは本当にすごい。世界観というか、感性がすごくて。見たことのないプログラムを一緒に表現できるのがうれしかったです。大ちゃんにしかできないことで」

 もともと国内でアイスダンス第一人者だった村元にとっても、高橋は特別だった。

 かなだいはふたりの才能と経験がスパークする形で、奇跡を起こした。あずしん、うたまさがあとに続けるか。

「これが100%ではない、まだ伸びしろはある」

 高橋は滑るたび、そう言って超進化していた。その姿勢はひとつのヒントになるかもしれない。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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