村元哉中・高橋大輔「かなだい」に続けるか? アイスダンス「あずしん」「うたまさ」が感じた世界との距離 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【うたまさは世界との距離を実感】

 一方、「うたまさ」と言われる吉田唄菜と森田真沙也のカップルは161.36点で9位だった。『ロミオとジュリエット』の世界観を氷上で表現。喝采を浴び、晴れやかな表情を浮かべた。

「フリーダンスの点数は納得がいくものではなかったですが、滑りきれたなって。この感覚を大事にしつつ、全日本まで糧にしていきたいです。『ロミオとジュリエット』は、みなさんも知っているストーリーで、どれだけ忠実に再現できるか。大会ごとにブラッシュアップできればなと思います」

 森田は汗を輝かせながら語った。ステーショナリーリフト、ローテーショナルリフト、シンクロナイズドツイズル、ダンススピンなどはレベル4。リフトのタイムオーバーで減点はあったが、見せ場をつくった。

 一方、吉田も手応えを感じていた。

「一つひとつの振り付けに意味があるので、それを感じながら、ジュリエットになりきって滑ることができました。真沙也くんの衣装が青くなって、星空みたいな感じなので。夜の星空の下の世界観、物語を出せるように頑張りました」

 そして彼女は、世界との距離についても意識していた。

「後半グループの方々の演技は、一つのプログラムに変な間がない。ずっと一つの作品だなって思います。私たちはまだ変な間があったりするので、そこを磨いていきたいですね」

 彼らはしっかりと世界のトップと自分たちの位置を認識していた。

「世界のトップ選手と比べると、僕たちはまだまだ。それは今回の大会でより明確になりました。見比べられるのは、いいチャンスで。周りの選手はできているって嘆くんじゃなくて、自分たちもうまくなれる気持ちでやっていきたいです」

 森田の言葉も前向きだ。

 あずしんも、うたまさも、アイスダンス転向から間もない。カップル結成は2年目。アイスダンスは引き算の競技でミスが許されず、時間がかかる種目だ。

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