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フィギュアスケート世界ジュニア女王・島田麻央の強さを支える貪欲さ 新プログラムに「ワクワク」 (2ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

【強さの裏側に謙虚さと生真面目さ】

 今回のジュニア合宿では全体の氷上練習の講師に高橋大輔が招かれていたが、高橋は個人練習の時間も熱心にスケーターたちの演技指導を行なった。

 島田も今季のプログラムへのアドバイスを受けていたのだが、高橋から顔の角度や腕の使い方のお手本を見せてもらうたびにどんどん動きが鮮やかに変化していく。

「自分がやるのと高橋先生がやるのでは、同じ振り付けでもまったく違う」と感じ、吸収していく素直さも島田の長所のうちのひとつ。輝かしい成績におごることなく謙虚に、そして貪欲に学ぶ姿勢が彼女の強さだと言えるだろう。

真剣な表情で陸上での練習に臨む真剣な表情で陸上での練習に臨むこの記事に関連する写真を見る高橋大輔から指導を受ける島田高橋大輔から指導を受ける島田この記事に関連する写真を見る

 その姿勢は氷上だけでなく、陸上のトレーニングでも見てとれる。講師の話をよく聞き、黙々と取り組む生真面目さを彼女は持っている。トリプルアクセルや4回転ジャンプという大技だけでなく、スケーティングやステップ、スピンという地味な基礎練習が必要な部分の質が見るたびに進化していることを見ても、島田がいかにコツコツと努力を重ねているかがわかる。

 8月上旬に行なわれた木下トロフィーではショートプログラム(SP)で70.88というハイスコアを叩き出し、フリーでは4回転トーループが珍しく2回転になってしまったものの、それ以降は安定したハイレベルな演技を見せた。

 昨年夏は4回転トーループでかなり苦しんでいたが、今年は「いい感じで跳べている」と言う。8月29日から行なわれるジュニアGP第1戦リガ杯に出場予定の島田。日本語の歌詞を海外の人にも演技で伝えたいという挑戦にも注目したい。

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著者プロフィール

  • 山本夢子

    山本夢子 (やまもと・ゆめこ)

    スポーツライター。青森県八戸市出身。5歳からフィギュアスケートを習い始め、高校卒業まで選手として各大会に参加。その後、渡米し大学を卒業、就職。帰国後は、コピーライターとして広告制作に携わる。2005年からフリーランス。現在はライターとしてフィギュアスケートの専門誌を中心に執筆中。

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