男子フィギュアスケートは「マリニン1強時代」 鍵山優真、宇野昌磨に打つ手はあるか? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【マリニンが高難度フリーで圧勝】

 フリーは宇野、鍵山、マリニンの滑走順。日本勢ふたりにとってはマリニンの得点を見ないで演技できる利点はあったが、「完璧な滑りをしなければいけない」というプレッシャーも大きかった。

 宇野は、最初の4回転ループで転倒。その影響もあったか、次の4回転フリップはステップアウトになって片手をつき、大きく減点される。4回転トーループ+3回転トーループも4回転+2回転になり、次の3連続ジャンプの予定だったトリプルアクセルも前につんのめる着氷になって単発に。ミスが続いた。

 それでもステップシークエンスから立て直してきれいに4回転トーループにつなげたが、3連続をリカバリーしたトリプルアクセルからのジャンプは、最後の3回転フリップで手をつく。

 結果は、タイムオーバーの減点もあって173.13点にとどまり、合計は280.85点。SP19位から巻き返したアダム・シャオ イム ファ(フランス)にも届かない結果に終わった。

 続く鍵山は、最初の4回転サルコウをきれいに決めると、前戦の四大陸選手権から入れた4回転フリップは4.56点の加点をもらう。

 後半に入ってすぐのトリプルアクセルは着氷をしたあとに転倒してしまったが、彼らしいスピード感と躍動感のある滑りを最後まで続け、シーズンベストの203.30点を獲得。合計は309.65点にしてマリニンにプレッシャーをかけた。

 そして、事前の構成プランでは4回転ジャンプ4本にしていたマリニンは、攻めの滑りを見せた。

 冒頭の4回転アクセルをきれいに決めると、4回転ルッツの次のループも4回転とし、そのあとの4回転ジャンプも着実に決めた。その滑りはこれまでのように勢いを前面に出すより、丁寧なものだった。

 気持ちを少し抑えたことで、ジャンプは確実に回りきって着氷する安定感が見えた。4回転6本で連続ジャンプを後半に集中させる高難度な構成をノーミスで滑りきり、歴代世界最高の227.79点を出すと、合計を333.76点にして圧勝した。

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