鍵山優真が大技ミスでも超高得点で圧勝「もっと得点を稼げる」宇野昌磨、マリニンに世界選手権で勝つためには? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【今季世界2番目の得点で優勝】

 その気迫は、2日後のフリーでも見せた。最初の4回転サルコウを4.43点の加点のジャンプにしたあと、4回転フリップはステップアウトで手をつく着氷になって3.46点減点された。

「結果的にステップアウトにはなってしまいましたが、しっかり体を締められました」と鍵山はフリップへの自信は揺るがなかった。そのあとのジャンプやスピン、ステップ、つなぎのスケーティングも音に合わせて変化するキレのある滑りを見せた。スピード豊かに滑りきり、演技後は氷上に両手と両膝をつくほど、力を出しきった。

 結果は、今季最高の200.76点で合計は307.58点。キス&クライで大喜びした鍵山は、「僕自身、200点はいかないんじゃないかなと思っていて、たぶん197〜198点くらいだろうなと思っていたので、200点が出た時はすごくびっくりしました」と説明する。

 鍵山にとっては、北京五輪で銀メダルを獲得した時の310.05点に次ぐ2度目の300点台。これは、マリニンが昨年12月のGPファイナルで出した314.66点に次ぐ今季の世界2番目の得点。その差は大きなものではない。

 フリーを見れば、4回転フリップを成功させられれば、あと5点強は上げられる計算だ。鍵山は「ジャンプもそうだけど、プログラムの細かい表現面だったりスピンだったり、GOE(出来ばえ点)をもっともっと稼いでいける部分もあったと思います」と課題も明確になった。

 課題のひとつが演技後半の3回転ルッツ+3回転トーループでノット・クリア・エッジと判定されて、加点が伸びなかったことだ。さらに「1点でも多く」ということを追求するなら、現状は前半に入れているトリプルアクセル+ダブルアクセルを後半に入れ、ボーナス点を狙うのも今の鍵山なら可能だろう。

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