「りくりゅう」三浦璃来・木原龍一「ああ、戻ってきたんだな」 急仕上げの復帰戦で見えた世界選手権連覇への光明

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

復帰戦となる四大陸選手権で2位に入った三浦璃来/木原龍一 組 photo by Getty Images復帰戦となる四大陸選手権で2位に入った三浦璃来/木原龍一 組 photo by Getty Images 中国・上海で開催されたフィギュアスケート四大陸選手権。2月1日、3日のペアでは、前回大会を208.24点で日本人ペア初の優勝を果たした三浦璃来と木原龍一が登場。今回は、ディアナ・ステラート デュデク/マキシム・デシャン組(カナダ)に8点以上の得点差をつけられる190.77点の2位で連覇を逃した。だが、ふたりの表情に曇りはなかった。

【急仕上げで挑んだ復帰戦】

 三浦は「今回の試合は、準備期間がすごく短かったんですけど、そのなかでもケガなく終われて本当によかったと思っています」と安堵した。

 新プログラムで挑んだ9月のオータムクラシックは、ショートプログラム(SP)とフリーともにふたりの強みでもあるジャンプで転倒のミスがあり、188.05点で2位という不本意なスタートになっていた。その後は、木原の腰椎分離症が発覚し、グランプリ(GP)シリーズや全日本選手権を欠場していた。

 ふたりにとって今回の四大陸選手権は約4カ月ぶりの復帰戦となった。「12月末に四大陸を目指そうとチームで話をし、1月の2週目にようやくペアの技の練習ができるようになった。2週間前からやっとショートの通し練習、先週になって初めてフリーの通し練習ができた」(木原)という、急仕上げの状況での挑戦だった。

「試合に出るレベルまでになったと確信して四大陸出場を決断した」と話すふたり。

 大会前に木原は「腰はもう100%完治したかなという感じです。練習ではまだ技の回数制限はあるけど、痛み自体はもうほとんどなくなってきていて練習もできているので、非常にいい状態かなと思います」と説明。三浦は「離脱した期間が長かったので高望みはせず、自分たちが練習をやってきたことを出せるように頑張りたいと思います」と話していた。

 復帰の舞台となるSPで目標にしたのは、オータムクラシックの59.13点を上回る65点だった。自己最高の80.72点や、北京五輪シーズンから出し続けていた70点台と比べれば低いが、3月の世界選手権へ向かうための第一歩として設定した数字だった。

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著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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