鍵山優真が大技ミスでも超高得点で圧勝「もっと得点を稼げる」宇野昌磨、マリニンに世界選手権で勝つためには?

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

四大陸選手権を制した鍵山優真 photo by Getty Images四大陸選手権を制した鍵山優真 photo by Getty Images フィギュアスケート・四大陸選手権の男子シングルは、2月1日にショートプログラム(SP)、3日にフリーが行なわれ、鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大)が初制覇を果たした。

【父からの言葉「自信が足りない」に奮起】

 昨シーズンはケガの治療に専念し、大会を欠場。今季、復帰した鍵山にとって四大陸選手権は3月の大舞台となる世界選手権へ向け、自身のレベルアップを確認していかなければいけない試合だった。

 競技前にはこう意気込みを口にしていた。

「勝つための練習に数週間取り組んできました。とにかく攻めて1点でも多く加点できるように、スピンとかスケーティングの部分ももちろんそうですけど、そういう細かいところをしっかりと練習してきたので、四大陸選手権のタイトルは獲れるようにしたいです」

 さらに新たにフリーに入れる4回転フリップに関してはこう述べていた。

「サルコウやトーループに比べて、フリップはまだ繊細な感覚でやっているというか、スピードだったり力の感じだったり、細かく意識しながら跳んでいます。そういうところを合わせるのは少し難しいですが、フリーでは(フリップが)2発目のジャンプなので最初のサルコウをしっかりと降りてなければいけない。その流れはすごく難しいけど、しっかり練習してきたので大丈夫だと思っています」

 鍵山はSPで、その言葉どおりに自信があふれた滑りを見せた。最初の4回転サルコウで4.16点の高い加点をもらうジャンプにすると、乱れが一切ない完璧な滑り。スピンとステップもすべてレベル4にして、イリア・マリニン(アメリカ)がグランプリ(GP)ファイナルで出した今季世界最高に0.08点まで迫る106.82点を出した。

「全日本選手権のショートでは4回転サルコウを失敗しましたが、そのあとに父(鍵山正和コーチ)から『自信が足りない』とアドバイスをもらいました。今大会は、とにかく自信を。自分の練習を信じる自信をしっかりと持って、このショートを演技することができたと思います」

 四大陸選手権に鍵山はまだジュニア選手だった2020年に出場し、羽生結弦とジェイソン・ブラウン(アメリカ)に次ぐ3位になっている。今回は、シニアとして初めて出るという感覚で、のびのびと滑れたという。まだ獲ったことのないシニアのタイトルを、本気で狙う気持ちが強かった。

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