GPファイナルのジャッジは甘い? 宇野昌磨「NHK杯のジャンプのほうがよかった」 (2ページ目)
【優勝はマリニンか宇野かそれとも...】
続く滑走の鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大)もノーミス。「フランス杯からノーミスを続けられているのは成長につながる」(鍵山)という滑りだった。
「ジャンプは全部危なかった感じもした。4回転トーループ+3回転トーループも降りた瞬間にいつもなら2回転にするような状況だったけど、勝ち抜いていくためには絶対に3回転をつけなければという思いもあった。そのあたりはしっかり踏ん張れてよかったと思います」と鍵山。103.72点を獲得し、地力を見せつける納得の滑り出しとなった。
宇野、鍵山のふたりの得点を超え、会場を驚かせたのは5番滑走のイリア・マリニン(アメリカ)だった。冒頭に入れた4回転アクセルをきれいに着氷し、3.04点を加えて15.54点を獲得する滑り出し。そのあとの4回転ルッツ+3回転トーループ、トリプルアクセルも着実に決め、ステップもスピンもレベル4にして、自己最高の106.90点を獲得した。
マリニンの4回転アクセル入りのプログラム構成は、7月の「ドリーム・オン・アイス」の最終日に挑戦していたもの。その時は失敗していたが、11月上旬のフランス杯を終えてから「ファイナルでは挑戦しようと考えていた」とマリニンは明かす。「サプライズにしたかったので、前日には言わなかったし、挑戦もしなかった」と話す。
今季は合計を300点台に乗せているアダム・シャオ イム ファ(フランス)が、冒頭の4回転ルッツのパンクでトップ争いから脱落したのは残念だが、前日に宇野が話していたとおり、「見る人にとっては本当に面白い試合」となっている。
マリニンのフリーの自己最高は、今季のスケートアメリカの206.41点。これまでの4回転の本数を抑えていた構成を変えてくるかも注目だ。
宇野はNHK杯での納得の滑りにジャンプもついてくれば、昨季のGPファイナルで出した自己最高の204.47点を大きく更新することができる。4回転2本構成の鍵山は厳しくなるが、フリー自己最高207.17点を持つシャオ イム ファを含めて、ミスができない男子フリーは、しびれる戦いになりそうだ。
著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。
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