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フィギュアスケート世界国別対抗戦で感じた「健全な熱気」 どの選手にも拍手と声援を送るファンの姿と盛り上がりの要因 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

●サッカーではあり得ない?!

 たとえば、この現象はサッカーではあり得ない。選手の失敗に毒づき、監督の采配を非難し、対戦相手にはブーイングを飛ばす。負けたら批判の嵐で、試合後には選手や関係者を脅すように取り囲む。かなり不穏だ。

 サッカーの応援構造は、スペインでは「Morbo」と言われる。「不健全さが放つ魅力や熱」という意味である。

 日常生活は不条理に対する怒り、憎しみ、不満にあふれているだけに、サッカーファンは自分の立場を選手たちに重ね合わせ、さまざまな感情をぶつけながら、マイナスを解消している。それがサッカーの成り立ちだけに、ひとつの正義ではあるのだが......。

 健全な熱気は、仁愛、信頼、勇気、誠実さという健やかさで気持ちを震わせる。

 コロナ禍がひとつの終結を迎えるなか、ファンが会場に戻って、声援も許されるようになった。本来の世界が戻ってきて、ファンが空気をつくり出す熱気の重要性があらためて明らかになったと言える。無観客試合とは雲泥の差だ。

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