宇野昌磨、全日本フィギュアで圧勝も「大会で成績を残したいという意志でやっていない」。さらなる高難度への挑戦を明かす (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【点数は「僕以上に周りにこだわり」】

 宇野は演技のなかで戦略を組み立て直した。4本目のトリプルアクセルは、グランプリ(GP)ファイナルでは3連続にするなどコンビネーションジャンプにしていたが、「一回落ち着いてから、後半に向かいたい」という意図で単発に。2.29点の加点のジャンプにした。

 そのあと、後半最初の4回転トーループに予定どおりに3回転トーループをつけると、次の4回転トーループには2回転トーループをつける連続ジャンプに。そして最後のトリプルアクセルは予定していたよりダブルアクセルが1本多い、トリプルアクセル+ダブルアクセル+ダブルアクセルの3連続シークエンスジャンプにした。

「最後の3連続ジャンプは練習前に、トリプルアクセル+1オイラー+3回転フリップではなくてもいいじゃん、ということに気づいて。全部アクセルにしたのは、(自分にとって)すごく簡単に跳べるジャンプなので、頭に入れていました。

 それをやったからといって順位に直結するものではなかったけど、前半で失敗した分、後半で頑張りたいなという......。失敗していたからこそ、ここでいつもはできないことをやりたいな、という気持ちがありました」

 3連続ジャンプを跳んだことで、演技時間をオーバーして1点の減点となった。だが、宇野は、それも織り込み済みだった。

「何か深いこだわりというのはなかったんですけど、それでもできるだろうなと思っていた。曲にはめちゃくちゃ遅れるのはわかっていたけど、それでも点数を追求した時に、遅れて1点減点されることより、ダブルアクセルをもうひとつつけるほうが点数は伸びるので。それは僕以上に、僕の周りの方にこだわりがあったと思うのでやりました」

 得点は4回転2本のミスで伸びきらず、191.28点だったが、初めての表彰台争いのプレッシャーで崩れた他の選手には差をつけ、2位の三浦佳生(オリエンタルバイオ/目黒日大高)には20点弱の差。

 宇野の合計は、SP2位から粘りきった同じステファン・ランビエル門下生の島田高志郎(木下グループ)に39.17点差をつける圧勝。3年ぶり5回目の全日本選手権制覇を果たした。

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