宇野昌磨、全日本フィギュアで圧勝も「大会で成績を残したいという意志でやっていない」。さらなる高難度への挑戦を明かす

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【ミスにも冷静な自己分析】

 全日本選手権で宇野昌磨(トヨタ自動車)には何の揺らぎもなかった。前に滑った選手たちがミスをして得点を伸ばせないなか、自分の演技だけに集中していた。「今できることを」。練習どおりの演技を頭のなかで冷静に思い描くだけだった。

全日本選手権男子フリーの宇野昌磨全日本選手権男子フリーの宇野昌磨この記事に関連する写真を見る フリーは、「今季はどんなにダメでもやり続ける」と宣言した、4回転ジャンプ5本とトリプルアクセル2本の、宇野にとってマックスの構成。

 安定度を増してきた最初の4回転ループは3.75点の高い加点のジャンプにした。次の4回転サルコウはパンクして2回転になり、続く4回転フリップは4分の1回転不足で転倒とミスが続いた。だが、動揺はなかった。

「試合では、時間があれば前の選手たちの演技を見ていますが、今回、たくさんの選手たちのスタイルや氷の感触を見ていると、4回転サルコウは失敗の確率が高いだろうなと思っていた。

 フリップは氷の影響ではなく実力の失敗だったけど、前半にミスが続いた分、後半は頑張ろうという意識になり、しっかり滑ることができて、冷静に今の自分の状況を体現できたかなと思います」

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