全日本フィギュアで輝いた14歳の新星・中井亜美。トリプルアクセル2本成功に「うれしすぎて最後のジャンプを忘れた」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【憧れは浅田真央。夢は五輪金メダル】

 トリプルアクセルを練習し始めたのは、小学5年の頃から。「最初はヘッドスライディングのような転倒もして怖かった」と振り返る中井。

 目標は憧れの浅田真央のように、トリプルアクセルをSPとフリーで合計3本跳び、そして五輪で金メダル獲得だ。今は4回転ジャンプもトーループとルッツを、けん引用のハーネスをつけながら練習をしているという。

「全日本はもったいないミスもありましたが、よかったところも悪かったところも経験できたので、来シーズンはもっと頑張ろうと思いました。フリーも自分のなかでは『楽しむ』という気持ちが強かったし、(トリプルアクセル2本に)挑戦することは決めていたので緊張することもなかった」

 同じリンクで練習する渡辺倫果(法政大)もトリプルアクセルを武器にし、GPシリーズ初参戦となった今季、GPファイナルに進出。世界選手権代表の座まで手にしている。渡辺との練習ではトリプルアクセル対決をしているという。跳べなかったほうが何かをおごるという勝負だそう。中井がスターバックスコーヒーのドリンクを渡辺におごったこともあるとか。

 明るく話す中井は、試合でも笑顔をそのままに、楽しくて仕方がないという気持ちが伝わってくる、スムーズで伸び伸びとした演技を見せてくれた。

 トリプルアクセルと4回転トーループを武器にする島田と競い合える環境のなかで、中井は力を伸ばしていくだろうという期待感は高まる。ふたりの勝負は、2023年2月末に開幕する世界ジュニアだ。

【著者プロフィール】
折山淑美 おりやま・としみ
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、これまでに夏季・冬季合わせて16回の大会をリポートした。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追っている。

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