坂本花織、圧勝で全日本選手権連覇達成。「GPファイナルの失敗があったからこそ、今がある」 (2ページ目)
【GPファイナルの失敗が転機に】
これまでのスケート人生で最高の成績を挙げた昨季、満足のいくシーズンを送ったことで、今季はモチベーション低下に悩まされた。これまでノーミス演技ができるまで徹底的に練習を繰り返してきたが、練習を途中で投げ出すことが多くなっていたという。そのツケが今季前半戦の調子の浮き沈みの激しさに表れてしまった。
自分の甘さを後悔する決定打となったのが、GPファイナルだ。ノーミス演技を見せたSPで1位となったものの、初制覇のチャンスが巡ってきたかと思われたフリーで、予想外のジャンプミスを連発。得点が伸びずにフリーは最下位で、総合5位に沈む天国と地獄を味わった。「こんな悔しさはもうこれきりにしたい」という、心の底からわき上がる強い思い。何をやるべきか、わかっていた。ノーミス演技ができるまで、自信がつくような練習に取り組むことだ。
「今大会はGPファイナルから1週間しかなかったんですけど、ファイナルからすごくいい切り替えができて、今シーズンのなかで一番充実した練習ができたので、その成果を今大会で発揮できたので、ほっとしていますし、よかったなと思っています」
中野園子コーチも、そんな坂本の変わりようについてこう話した。
「ファイナルのあの失敗があってこそ、(大会連覇ができた)この日があるんだと思います。あれから心を入れ替えてトレーニングも練習もかなり頑張りましたので、今があります。それでも、試合当日の朝練習ではノーミスまでいかなかったんですけど、本番にようやくたどり着いたという感じです。
ファイナルまでの今シーズンは、しんどくなったらすぐに演技を止めてしまって、プログラムを半分ずつ練習していたのですが、全日本前の練習では最後までプログラムを通しで続けようとやっていたので、それからよくなってきたと思います。GPファイナルの失敗がいろいろな意味でもっと頑張っていかなければという気持ちを生んだと思います」
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