宇野昌磨「これまで練習してきたのと違う感じだった」。全日本フィギュアSP独走の裏側にあった違和感

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

12月23日、全日本選手権男子SPの宇野昌磨12月23日、全日本選手権男子SPの宇野昌磨この記事に関連する写真を見る

【自信はあるわけでも、ないわけでもない】

 12月23日、大阪。全日本選手権男子シングルのショートプログラム(SP)を滑り終わって、宇野昌磨がミックスゾーンに出てきた。

 すでに息は少しも乱れていなかった。いつものように腕を後ろに回し、静かに質疑応答を繰り返していた。

 テレビのインタビューから横にずれ、マイクを持ってペン記者たちとのやりとりになった時だ。

「自信をつける、つけないというところに僕はいなくて」

 自信について聞かれた時、宇野は興味深い答えを出していた。

「そんなに自信があるわけでもなく、ないわけでもない。練習で100%成功していても、試合で失敗することはあるし、試合だけうまくいく場合もあるので。ただ、練習よりは試合のほうが経験というか、レベルアップにつながる場だなとは思っています。より成長するにはどうすべきか。試合に真剣に向き合えるか、で」

 答えがないのが答えのなか、自分だけがそれをわかっていればいい、と宇野はならない。丁寧に説明を尽くすところに、彼の人間性はある。フィギュアスケートに対し、真摯なのだろう。

 そして、それこそが今やエースと言われる男の矜持なのかもしれない。

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