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宇野昌磨「これまで練習してきたのと違う感じだった」。全日本フィギュアSP独走の裏側にあった違和感 (4ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【全日本制覇に向け独走】

 SPで宇野はISU(国際スケート連盟)非公認ながら今シーズン最高の100.45点をたたき出し、首位に立っている。2位以下を10点以上も引き離し、もはや独走に近い。

 演技直後は悔しさもにじませていたが、リンクサイドでランビエルに抱きしめられると、ようやく達成感に浸った。

「今できる最大限ができたかなって」

 宇野は言う。まだスコアを伸ばす余地も捨てていない。

「(最後の)シットスピンはずっとレベル3だったので、レベル4をとれるように滑って。途中までは(回転数を)数えられていたんですが、間違えてしまって。(少し悔しそうだったのは)すいませんって気持ちで」

 2022年、宇野は世界王者からグランプリ(GP)シリーズで2連勝し、GPファイナル王者にも輝いている。自分以上の敵はいない。彼はそこまでたどり着いた。

 12月25日、フリースケーティング。宇野は『G線上のアリア』で最終滑走となる。全日本という祭典を飾る大トリだ。

【著者プロフィール】
小宮良之 こみや・よしゆき 
スポーツライター。1972年、横浜生まれ。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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