坂本花織、三原舞依には不安要素も。全日本フィギュア女子は大混戦の様相で14歳の超新星にも勝機あり

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

ジュニアGPファイナル優勝を果たした14歳の島田麻央。全日本フィギュアに挑むジュニアGPファイナル優勝を果たした14歳の島田麻央。全日本フィギュアに挑むこの記事に関連する写真を見る フィギュアスケート女子の2022−2023シーズンは、ロシア勢不在のなか、日本勢が世界を牽引している。

 グランプリ(GP)シリーズ前半戦は、坂本花織(シスメックス)が、開幕戦スケートアメリカでミスはありながらも217.61点で優勝した。GPシリーズ第4戦イギリス大会では、ショートプログラム(SP)、フリーともわずかなミスで抑えた三原舞依(シスメックス)が217.43点で優勝。12月22日開幕の全日本選手権へ向け、坂本、三原のふたりが完全に抜け出したかに見えた。

【坂本花織、三原舞依は復調するか】

 だが、坂本は11月の第5戦NHK杯では、風邪で1週間練習を休んだ影響もあり、SP、フリーともにミスが出て201.87点。キム・イェリム(韓国)に敗れて2位だった。

 まさかの結果で坂本の歩みがにぶった。次のGPファイナルは、SPをノーミスの滑りで75.86点の1位発進としたが、フリーでは「ずっと地に足がついていない状態だった」とミスを連発して6位の116.70点。合計は192.56点で、ISU(国際スケート連盟)公認大会では2019年11月以来の200点割れ。自身ワースト2位の低得点になってしまった。

 一方、三原は第6戦フィンランド大会とGPファイナルで勝利を重ねて3連勝としたが、フィンランド大会ではSPで73.58点と好発進をしながらも、フリーは体調を崩してミスが出て204.14点と得点を伸ばせなかった。

 また、GPファイナルでもSPは74.58点の自己最高スコアを出しながらも、フリーは昨季の四大陸選手権で出した自己最高の145.41点に11.82点及ばない133.59点にとどまり、合計も208.17点までしか伸ばせなかった。

 ふたりとも全日本選手権へ向けては気持ちを切り替えてくるだろうが、三原はイギリス大会からの3戦は長時間移動のなかで戦ってきていて、中1週の4戦目で疲労も蓄積している不安もある。

 それぞれのGPシリーズ初戦のような調子に戻っていれば、ふたりが完全に抜け出す優勝争いとなりそうだが、不安要素もあるだけに、女子は大混戦になる可能性もある。

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