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坂本花織、三原舞依には不安要素も。全日本フィギュア女子は大混戦の様相で14歳の超新星にも勝機あり (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

【河辺愛菜、渡辺倫果はトリプルアクセルに注目】

 混戦になれば、昨季、北京五輪と世界選手権に出場した河辺愛菜(中京大中京高)にもチャンスの芽は出てくる。今季は、「ずっと指導してもらいたいと思っていた」と話す樋口美穂子コーチに師事をして拠点を愛知に移した。同年代の松生理乃(中京大中京高)などと一緒に練習できる環境になり、新たな刺激を得ている。

 河辺は武器であるトリプルアクセルを今季は封印した状態で、シーズン出だしのUSインターナショナルクラシックとGPシリーズ・フランス大会は180点台にとどまった。だが、フィンランド大会は197.41点を出し、3位になるまで復調している。

 フィンランド大会で、河辺はトリプルアクセルに関して「まだ曲かけ練習には入れていないが、少しずつよくなっている」と話していた。さらに「今のままでは全日本でも去年の結果に追いつくのは難しいと思うので、ショートよりフリーの練習を多くして、持ち味のトリプルアクセルを入れてノーミスの演技ができるようにしたいです」と意欲を口にした。

 昨年の全日本選手権で3位になった得点は、209.65点。フィンランド大会からの約1カ月間はじっくりと練習をしてきた河辺が、どこまで状態を戻してきているかがカギだ。

 また、昨季、世界ジュニア選手権でISU公認大会に初出場した渡辺倫果(法政大)は今季、チャレンジャーシリーズ・ロンバルディアトロフィーのフリーでトリプルアクセルを成功させ、坂本を抑えて自己最高の213.14点で優勝。その道が大きく開かれた。

 当初、GPシリーズの出場予定はなかったが、まずNHK杯出場が決まり、大会1週間前にスケートカナダの出場も決定。ぎりぎりの準備で出場したスケートカナダのSPは6位発進だったが、フリーはSP上位陣が崩れて197.59点で優勝という幸運が巡ってきた。

 NHK杯はプレッシャーに襲われて5位にとどまったものの、GPファイナル出場枠に滑り込んだ。そして、初の大舞台であるGPファイナルは、SPは冒頭のトリプルアクセルを4分の1の回転不足にとどめて自己最高の72.58点で4位。フリーでもミスは出たが3位の123.43点を獲得し、合計196.01点で総合4位になった。

 渡辺は全日本選手権にこれまで4回出場して昨年の6位が最高で、それ以外は18位以下。国際大会とは違う独特の緊張感もあるが、「息もできないように感じる時期が続いた」と振り返る世界ジュニアや「世界と戦う怖さ、日本を背負うプレッシャーを感じた」と言うNHK杯の経験は生きるはずだ。213点台を出した実力があるだけに、重圧に負けなければ表彰台争いにも飛び込んでくる期待は大きい。

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