髙橋大輔「よく落とさずにすみました」。かなだいは体力に課題。村元哉中は「踏ん張って!」と鼓舞していた (3ページ目)
髙橋の体力に課題「踏ん張って!」
アイスダンス3シーズン目、かなだいは目覚ましい進化を遂げてきた。1年目で全日本選手権2位。2年目の昨シーズンは、国際スケート連盟(ISU)の国際大会で銀メダル、四大陸選手権で日本勢史上最高の銀メダル、そして世界選手権に出場。
今シーズンはISU国際大会で初の金メダルを手にし、今回のNHK杯でもリズムダンスでは、会場で一際大きな喝采を浴びた。
ふたりは濃密なトレーニングによって、「アイスダンスは時間」という分厚い壁を突き破ってきた。それは髙橋がシングル時代に世界王者に輝いた実績や、村元の五輪での日本勢最高位の経験と、どちらも等しく土台にあったはずだが、アイスダンサーとしてふたりでつくり上げたものだろう。
「シングルとアイスダンスは別物」
髙橋も淡々と言った。シングル時代に『オペラ座の怪人』を滑っているだけに、一部メディアはノスタルジーに焦点を当てようとしたが、彼はやんわりと避けた。あくまで「今を生きる」アイスダンサーであり、その矜持こそが成長を早めているのだ。
とは言え、道はまっすぐではない。
世界トップに混ざったフリーダンスでは、課題も出た。『オペラ座の怪人』の狂気や恋慕(れんぼ)は伝わった。しかし前半、飛ばしすぎたことで、後半はバテた。最後のリフトで村元が持ち上げられながら「踏ん張って!」と髙橋に声をかけたほどだった。どうにかチームワークで乗りきったという。
「よく落とさずにすみました」
フリーダンス後、髙橋は荒い息遣いで、安堵するように言った。実際、しゃがみ込んでラストポーズを決めた髙橋は、村元と見つめ合ったまま立ち上がれないほど疲労していた。スコアは103.68点と伸びなかった。
「プログラムを通して、最後まで滑りきる体力が必要ですね。リズムダンスはまとまってきましたが、フリーは(内容を)かなり変えてきているので、まだ数をこなせていなくて。シーズンのスタートが遅れてしまったり、(アメリカで)ハリケーンがあったり、という影響もあります」(髙橋)
あらためて、アイスダンスは「時間×濃度」なのだろう。
トータル178.78点は総合6位だった。しかし悲観することはない。日本勢では一番だ。
「3シーズン、あっという間で。でも、一つひとつの経験を大事にしてきたから、今があるんだなと。だからこそ、今できることだけをひたすら考えて」
髙橋らしい地に足がついた言葉だ。
かなだいの次の舞台は今年12月、大阪で開催される全日本選手権になる。それは来年3月の世界選手権にもつながる。再び、世界参戦だ。
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