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本田望結が氷上で求める自分らしさ。姉・真凜の表現とは「逆を攻めたい」 (2ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

姉・真凜の表現とは「逆を攻めたい」

ーー望結さんのスケートは、表現に対してプロ魂を感じるのですが、そういうふうに思い始めたのはいつ頃からですか?

 小さい頃からお芝居をさせてもらっている分、表現力は一番じゃないといけないと思ってやっています。それだけでは表彰台に上がることも予選を通過することもできないんですけど。最近、ジャンプやスピンは私より上手な人がたくさんいるし、正直、私はそういったレベルに通用する技は持っていません。ただ、表現に正解は絶対にない。ジャッジや見ている人の心を動かす表現だけは諦めたくないと、シニアに上がったくらいから感じるようになりました。

この記事に関連する写真を見るーー姉の真凜さんもすばらしい表現技術があるスケーターですが、望結さんはまた違う魅力がありますよね。ご自身の武器はどんな部分だと思いますか?

 姉は身体を使った表現が上手で、私は身体というよりは顔だったりそういった部分が強くなってしまうんですけど......。姉は強い演技をしていてもどこか少し柔らかさが残っていてそれが本田真凜らしさだと思うんです。私は逆に、たとえば、真っ白な衣装で『白鳥の湖』のような曲をやってもどこかブラックスワンになっちゃう(笑)。

「やってやるぞ!」という気持ちが表に出ちゃうのが小さい頃からの私の特徴で、そこが私らしさなのかなとも思っています。姉は氷に乗った時の重心が下じゃなくて上にある感じが本田真凜らしさだな、と今回アイスショーで毎公演、姉の演技を見ながら分析していました。姉の動きは本当に世界を見ても唯一無二で、マネしようとしてもできないから私は逆で攻めようと思います(笑)。

スケートと芝居が両方あって「私」

ーー現在の望結さんにとって、スケートはどういうものですか?

 私をつくってくれたものです。スケートに限らずお芝居もなんですけど、ふたつのことをやるのは中途半端だなとか、どっちかに絞ったほうがよいかと考えた時もあります。それは小学校から中学に上がる時、中学から高校に上がる時、今まさに来年、大学生になりたいと思っているので切り替えの節目ではあるんですけど、フィギュアスケートがなかったら今の私じゃ絶対ないし、逆にお芝居に出会えなくてスケート一本だったらそれもまた絶対に私じゃない。

 スケートができて、お芝居をさせてもらってる、すべて奇跡のような、必然のような人生を歩めているなと思うんです。大好きなスケートを諦めたほうがいいのかなと考える時期もたくさんあったけど、続けさせてくれる両親にも、その時に「やりたい!」と決めてくれた私にも「ありがとう」と伝えたいです。これからどんなことがあってもスケートとお芝居は諦めず、未来の私が今の自分に「ありがとう」と言ってくれるような生活をしたいと思っています。

この記事に関連する写真を見るーー今季の初戦に向けて取り組んでいること、プログラムについて教えてください。

 試合に出たいという気持ちがあるので、周囲の皆さんの協力のもとでスケジュールを考えています。初戦は(10月の)東京ブロックになるのかな? 練習時間をたくさん確保できるわけではないので、練習できる時間を大切にしたいです。元気に笑顔で滑れることがどれだけ幸せなのかというのを大きくなるにつれてより強く感じているので、リンクで滑れる楽しさを忘れないようにと思いながら練習に取り組んでいます。

 今季のプログラムはまだ決めていないんですけど、過去に使ったプログラムをもう一度やってみてもいいんじゃないかなと思います。今滑ったらきっと大人の女性っぽくなるし、雰囲気が違うものになるのではと考えています。

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