村上佳菜子が語るフィギュア女子の見どころ。坂本は「技の質」、樋口は「パッション」、河辺は「精神力」 (3ページ目)

  • 辛 仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登 直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

 日本勢がメダルを獲得するには、ロシア勢の大きな壁が立ちはだかっています。特に15歳のカミラ・ワリエワ選手(※ドーピングを巡る問題で出場可否は未定)はシニア1年目で世界記録の更新をずっと続けていますから、誰にも止められないという感じではあると思います。

 でも、そこに立ち向かっていく日本選手たちにもそれぞれの魅力があります。とにかく一番は、ミスをしないでどれだけクオリティの高いジャンプ、スピン、ステップをして、GOEを稼げるかというところだと思います。言うのは簡単ですけれど、とても大変なことです。まずは自分自身のベストなパフォーマンスを見せてほしいと思います。

 今のフィギュア女子はすごい時代になりました。平昌大会からまたガラッと変わりましたよね。女子選手が4回転を跳ぶということはかなり強い体幹と筋力が必要です。軽さはもちろんあるとしても、4回転を跳ぶとなると相当な筋力トレーニングも行なっていると思います。そういう筋肉があるからこそ、軸がブレずに速く回れるのでスピンもさらに美しさが増します。また、レベルをとるためにはステップを踏みながら体全体を使います。ワリエワ選手はどんなに体を使っていてもブレずに、下半身と上半身とでまったく違う動きができるというのは、やはり4回転を跳ぶための筋力を作っているからこそできるのだと思います。

 今まではジャンプばっかりだった時代もありましたが、そこを経て、今はジャンプ込みでトータル的にレベルが上がっていると思います。日本勢も今できることを美しくパーフェクトに発揮してくれることを期待しています。

【プロフィール】
村上佳菜子 むらかみ・かなこ
プロフィギュアスケーター。1994年、愛知県生まれ。フィギュアスケート選手時代には、ソチ五輪出場(2014年)や四大陸選手権優勝(2014年)などの成績を残す。2017年に引退後は、プロフィギュアスケーターやフィギュアスケート解説者として活躍。タレントや女優として数々のテレビ番組にも出演中。

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