友野一希「素直に自分をほめてあげたい」。GPシリーズで3位と確実な成長を見せた (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

 羽生がケガで欠場し、他の有力な選手としてイタリア杯で2位のミハイル・コリヤダ(ロシア)がいた。友野はSP第1組6番滑走。最初の4回転トーループ+3回転トーループを2.99加点のジャンプにすると、次の4回転サルコウと最後のトリプルアクセルも確実に決め、スピンとステップはすべてレベル4。丁寧な滑りのノーミスの演技で、それまでの自己最高を7.59点上回る95.81点で1位発進をしたのだ。

「朝の公式練習からいい練習ができなくて不安のほうが大きかったのですが、落ち着いて演技できました。自分のマックスの滑りができれば95点くらいは出せるのではないかと思っていました。ジャンプについては、トーループ以外は少し詰まってしまって自分のなかでは『いいジャンプではない』と感じましたが、それでも95点が出たのは収穫。これからいいプログラムを作っていけば、100点近くも望めるのではないか。最後は、たくさんしてきた練習の成果が出たのだと思います」

 友野はそう振り返った。2位に0.44点差でスケートカナダ6位のモリシ・クヴィテラシビリ(ジョージア)がつけたが、優勝候補のコリヤダは4回転2本で失敗して84.84点で4位。友野に優勝のチャンスが巡ってきた。

 最終滑走者として臨んだフリー。先に滑ったコリヤダが合計を264.64点としてトップに立つと、友野の直前に演技したクヴィテラシビリが上回って266.33点に。友野は、自己最高を7.69点上回る170.52点を獲得すれば優勝できる計算だった。SPの演技を思えば、それは十分可能に思えた。

 だが、滑りに少し硬さがあった。最初の4回転トーループ+3回転トーループはSPと同じようにきれいに決めたが、次の4回転サルコウは4分の1の回転不足になった両足着氷。次の単発の4回転トーループは3.12点の加点で流れを取り戻したかと思えたが、続く3回転ループは着氷で手をついてしまった。

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