髙橋大輔が見せた存在感。五輪シーズンに新たな表現の世界を切り拓く
LUXEで主演を務めた髙橋大輔この記事に関連する写真を見るーー「氷艶2019」では主演を務めました。お芝居を演じることは、競技者としてはどう落とし込まれるのでしょう?
フィギュアスケーターとして道を切り拓いてきた髙橋大輔に対し、そんな質問を投げたことがある。
「お芝居をやらせてもらってあらためて思ったことは、フィギュアスケートは"表現"というより"ダンス"というか、"音を表現することだな"と思いました。お芝居をやった感覚で言えば、表現というのは人物像をとらえて、前後の物語を考えないとできない。でも、フィギュアスケートの場合は音によって悲しい気持ちが急に明るくなったり、その逆だったり、音楽そのものを表現していて」
髙橋はそう言ったが、彼のスケーティングはそれ自体、物語性を帯びる。それだけに滑る技量が高められているからだろう。ショーも、競技も、フィクションも、ノンフィクションも、そこに境界線はない。2020年にはシングルスケーターを引退してアイスダンスに転向したが、全日本選手権で2位になるなど非凡さを見せている。
その日、髙橋は氷上の舞台「LUXE」(リュクス)で、スケートの世界をさらに広げていたーー。
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