宇野昌磨、大技失敗の無念を胸に刻む。「成長できる幅がある」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 高橋 学●写真 photo by Takahashi Manabu

SPの宇野。本来の力が発揮できず、9位だったSPの宇野。本来の力が発揮できず、9位だった 4月15日、大阪。国別対抗戦男子シングルのショートプログラム(SP)で、宇野は9番目に滑っている。

「足を引っ張らないように」

 彼はそればかり気にしていたが、調子は上がっていなかった。不安が緊張となって、表情にも表出していた。

 重低音で『Great Spirit』が流れ出すと、体は自然に動いた。しかし、冒頭の4回転フリップをクリーンに着氷できない。悪い流れで4回転トーループも軸がずれ、コンビネーションをつけられなかった。最後のトリプルアクセルも、本来の出来には程遠かったと言える。気持ちを切らさず、スピンでレベル4を取り、ステップで観客を引き込んだのはトップスケーターの意地だろう。

 しかしスコアは77.46点で、9位に沈んだ。

「チーム戦(各選手の順位によって、国別の順位が決まる)なのに、僕が足を引っ張ってしまって。ジャンプはもちろん、つなぎやスピンも......。悔しがる場所にも立てていないと思いました」

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