本田真凜、アイスショーではつらつと演技。自覚している課題の克服へ (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA/Enomoto Asami

はつらつとした演技を見せた本田はつらつとした演技を見せた本田 演技後の本田は、口惜し気に語っていた。期待されてきた俊英としては、忸怩(じくじ)たる思いがあるだろう。2016年には世界ジュニア選手権で優勝し、ジュニアながら参加した全日本で4位に入り、2018年の平昌五輪に向けては有力候補にもなっていたのだ。

 わずかなきっかけで、"運命のコイン"を裏返しにできるはずだが......。

 実は2020年の苦闘は、2018、19年から続いてきたものだ。

 アメリカで活動する決意を固め、異国での生活に苦しみながら経験を積み上げていった。しかし、結果が出そうなところで、不運にもタクシーの追突事故に遭っている。ハンディを背負いながらもグランプリシリーズを戦い抜き、全日本ではフリーで最終滑走組に入って、復活の足掛かりを得たように見えた。

「2019年はシーズンオフに、アイスショーでたくさん滑らせてもらったのが(復活の兆しとなる全日本最終グループ入りにつながって)よかったな、と思っています。気持ちが折れかけていたところで、また頑張ろうと思えました。私は気持ちがいちばん大変なところなので」

 本田は気持ちを明かしていた。つかんだ兆しは、幻だったのか。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る