修正・改善・進歩。紀平梨花は女子フィギュアスケートの革命家だ (4ページ目)
コロナ禍でも、紀平は毎日3時間近く氷の上に立って、客観視した厳しいトレーニングを続けてきた。他にダンス、バレエ、フィジカルトレーニングとメニューはハードだった。筋肉を極限まで使い、動きが鈍くなったのを感じ、曲かけ練習はボロボロになりながらも、休養すると体が軽くなるのを確かめ、成長を遂げてきた。
「試合がいつあるかわからず、予定があっても本当にあるのか、モチベーションの維持は難しかったです。そこで新しい環境に飛び込んで、毎日のように筋肉痛になって。挑戦が正解か、わからない中でした。でも、集中してやってこられましたし、試合になったときの強みが自分の強みかなって」
18歳とは思えない、自己分析である。舌足らずな喋り方で、可愛らしくおっとりとして映るが、競技への向き合い方は完璧主義的で、極めて敏感。スケーティングそのものを職人的に追求し、自己鍛錬するタイプとも違う。スケーティングを見たこともないものに刷新する革命家的だ。
「カタツムリのような進み方で」
紀平は、自らの成長をそう評している。しかし、その速度は進化というに近い。彼女自身が、女子フィギュアスケートをアップデートしているのだ。
今年3月、世界選手権で紀平はロシア勢と"時代"をかけて戦う。
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