2021.01.01

全日本で「輝いた」スケーター。「ラストダンス」にまつわる3人の物語

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

全日本フィギュアでSPを滑る本郷理華 2020年の全日本選手権、女子シングルで紀平梨花はひとつの伝説を作った。フリースケーティングの冒頭、安藤美姫以来となる日本人史上2人目の4回転ジャンプを着氷。完璧なサルコウで、またひとつ技を改善した。

 華々しい優勝を遂げた紀平が、スポットライトを浴びるのは当然のことだろう。

 しかし、彼女はひとりでそれを跳べたのかーー。

 フィギュアスケートという競技の長い歴史で、有名な選手も、無名な選手も、氷の上で過ごすことに人生を懸けてきた。その数は知れず。彼らの熱はリンクを溶かし、歓喜と無念の間で降りる時、その思いを託してきた。華やかにきらめく舞台は、無数のフィギュアスケーターたちの「ラストダンス」の結晶のようにも映るのだ。

 24歳になる本郷理華(中京大学)は、2012年から7年連続で全日本に出場している。2014年は表彰台に立つ2位。3度の世界選手権出場、グランプリ(GP)ファイナル出場で、ソチ、平昌五輪の出場権をかけて長く争った。

 昨シーズンは休養を決めたが、今シーズンは1年半ぶりに復帰して中部選手権を戦い、西日本選手権を勝ち抜き、全日本選手権出場の切符を手にした。休養の流れで「引退」も視野に入れていたが、「もう一度リンクで」と引き戻されたという。

「一回(競技を)休んで、試合って考えた時に、もう一度、全日本に出たいと思いました。それが(現役を)続けるきっかけのひとつになっていて」