2020.11.10

樋口新葉、トリプルアクセル失敗も焦りはなし。ジャンプ以外も進化中

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

東日本選手権SPを滑る樋口新葉 12月の全日本フィギュアスケート選手権へ出場をかけた東日本選手権が、山梨県の小瀬スポーツ公園アイスアリーナで開催された。樋口新葉は昨年の全日本選手権2位で、全日本へのシード権はすでに持っているが、「今季は(コロナ禍の影響で)試合数が少ないので、出られる大会には出ておきたかった」と出場。初日(11月6日)のショート・プログラム(SP)は余裕のある滑りをし、2位に10点強の差を付けて首位発進した。

「練習よりいいイメージで演技できたし、細かい部分を考えられた。ステップも意識して大きく滑れたと思うが、『もっと大きくできる』とも感じました」

 2本目のジャンプの3回転ルッツ+3回転トーループをきれいに決めると、次のコンビネーションスピンはスピード感溢れる回転だった。3回転フリップはノット・クリア・エッジと判定されてGOE(出来栄え点)加点は伸びず、樋口は「朝の練習から高く跳べていたので、詰まった原因はそれだと思う」と振り返った。しかし、その後は流れのいいつなぎでレイバックスピンに移ると、最後のステップシークエンスは気持ちを前面に出すキレを見せた。

「見た目では大きいミスがなかったので、自分の滑りは最低限できた。細かいところでレベルやプラスが取れないところはありましたが、(11月下旬の)NHK杯までには仕上げられる部分かと思います」

 演技構成点は昨シーズン最後の四大陸選手権に比べると全体的に低く、70点台には乗せたが70.71点。満足できる演技ではないものの、シーズン初戦としては納得できるものだった。今季はプログラムをSP、フリーともに前季から持ち越したことで焦りがなく落ち着いている印象。「やるべきことができているので自信もついてきた」という、心の余裕を感じさせるSPだった。