2019.12.19

本田真凜は全日本で殻を破ることができるか。
「気持ちが大切」

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 12月18日、代々木第一体育館。本田真凜(18歳)は、赤い長袖のトレーニングシャツと黒いパンツと黒い手袋でリンクに入ってきた。両腕を真っ直ぐ上にして、全身を伸ばす。それだけの仕草で、体のしなやかさが伝わる。一つに束ねた髪が、ゆらゆらと揺れた。

全日本選手権の公式練習に臨む、本田真凜 全日本フィギュアスケート選手権の公式練習。本田は、静かに一つ一つの動きをゆっくりと確かめていた。ステップはきれいな線を描き、指先が見えない線を引く。練習中、3回転フリップで転倒するなどジャンプが乱れる場面はあったが、本人は落ち着いていた。リンクサイドに戻ってコーチの指示を熱心に聞くと、意を得たような表情に変わって、すぐさま連続ジャンプを成功させている。

「明日(から開幕する全日本)の試合に向けては、いい調整ができていると思います」

 取材エリアに出てきた本田は、丁寧な口調で話している。

「プログラムを通しで何度も練習してきました。(たとえば)リカバリーのところ、最初(に連続ジャンプを)つけられなくても、(あとで)どこでつけるとか。いい演技が練習でできるようになってきました。国内大会は苦手意識があったんですが、(全日本前に)2週連続で国内の試合に出られて、自信を持って自分のためにいい演技を、と思っています」

 全日本で、本田は大輪の花を咲かせるのか?

 今シーズン開幕を前にしたインタビューだった。

「自分はまったくこういうのがなくて」

 本田はそう言って、右手で波を作った。指先まで軽やかな腕の動きは、本当にその場に波を作り出したように錯覚させた。

「よかったときはすごくうれしいです! でも、よかったときも、悪かったときも、(性格的に)すぐ過去のことになっちゃう。ショート、フリーがあると考えた時に、切り替えという部分ではいいと思いますけど。もうちょっと、よかったことも悪かったことも、自分の中で残していかないと」