2019.12.14

羽生結弦、チェンとの戦いは「楽しみながら強くなっていきたい」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

次戦は全日本選手権に出場予定の羽生結弦 12月5日からのグランプリ(GP)ファイナルではショートプログラム(SP)でミスをし、ノーミスの滑りで自己最高の110.38点を出したネイサン・チェン(アメリカ)に12.95点の大差を付けられた羽生結弦。フリーでは公式練習初日から跳んでいた4回転ルッツを組み込む4種類5本の4回転を入れる構成に挑戦したが、試合後には勝てると思っていなかったと明かした。

「4回転を1本増やしたからといってあの点差は縮まるものではないことはわかっていたし、ネイサン選手も4回転を5本跳んでくるのはわかっていた。難しいだろうなという感じはありました」

 4回転ルッツを入れて4回転を5本にする構成は、一応は用意していたものだった。だが練習した回数は少なく、通しでやったのは1回くらい。できればそれを使わないでおきたいという気持ちの方が強かった。それに対してSPで自己最高得点を出したチェンは、その後の公式練習での調子もよく、すべての4回転は外すことはないだろうと思えるジャンプをしていた。

 フリーで5番滑走だった羽生は最初の4回転ループと4回転ルッツはきれいに決めたものの、後半に入ると4回転サルコウを決めたあと、得点源の3本の連続ジャンプは相次いでミス。4回転トーループからの3連続ジャンプは最後の3回転フリップが回転不足になり、4回転トーループ+3回転トーループは4回転+2回転、最後に入れたトリプルアクセル+トリプルアクセルのシークエンスは、最初のアクセルがシングルになった。

 それに対してチェンは、予想どおり完璧な演技だった。3本目の4回転トーループからの3連続ジャンプの最後の3回転をフリップからサルコウに変えて、スケートアメリカとフランス杯で減点されていた後半の単発の4回転サルコウと4回転トーループも高い加点。スピンやステップもレベル4の滑りでフリー世界最高の224.92点を出すと、合計でも自身の世界最高得点を12点弱上回る、335.30点で圧勝した。

 羽生との得点差は43.87点。だがその差に関して羽生は、悲観する表情は見せていなかった。