五輪女王・ザギトワも必死。吹き荒れるロシア3人娘の新風

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 11月15日から行なわれた、グランプリ(GP)シリーズ・ロステレコム杯女子は、アレクサンドラ・トゥルソワ(ロシア)が、その4回転ジャンプの威力を見せつける大会になった。

ロステレコム杯で優勝したトゥルソワロステレコム杯で優勝したトゥルソワ トゥルソワは15日のショートプログラム(SP)で、後半の連続ジャンプで3回転ルッツを降りたあとに3回転ループを付けられず、3回転トーループになってGOE(出来ばえ点)加点は0.67点に抑えられた。

 だが、前戦のスケートカナダより前半のダブルアクセルと3回転フリップの加点を微増させ、演技構成点も0.48点伸ばす33.92点。その結果、SPはスケートカナダより0.19点低いだけの74.21点で滑り出した。

 翌日のフリーでは、スケートカナダと同じように冒頭の4回転サルコウで転倒しただけではなく、後半の得点源である3回転ルッツからの連続ジャンプの3回転ループで転倒。だが、それでも160.26点を獲得し、合計を234.47点にして優勝を決めた。

 フリーの演技構成点は、スケーティングスキルとトランジションでは3人のジャッジが7.75点を出したのに対し、9点台や8.75点を出したジャッジもいるなど評価は若干分かれているが、8点台にはなった。

 その強さを支えているのは身体能力の高さだけではなく、練習内容にもあるようだ。フリー当日の公式練習の曲かけでは、最初の4回転サルコウを成功したあと、4回転ルッツは2回転になるミスをしたが、そのまま4回転トーループ+3回転トーループとダブルアクセルまで続けた。

 その後、コレオシークエンスから再び演技を始めると、最初の4回転トーループで転倒したがそのまま3回転ルッツ+3回転ループを跳ぶと、最後の単発の予定だった3回転ルッツに4回転トーループの転倒で付けられなかった1Eu+3回転サルコウを付けてリカバー。

 曲かけでは失敗があってもここまでは続ける、と決められていて、それをしっかり実践し、なおかつミスがあったら必ずリカバーすることが習慣づけられているようだ。それが、たとえミスをしても、引きずることがない強さの要因にもなっているのだろう。

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