2019.11.22

紀平梨花は4回転時代を恐れない。NHK杯でロシア勢とガチンコ勝負

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 札幌市内のホテル。次の日からのグランプリシリーズ、NHK杯の開幕を控え、壇上に並んだ選手たちが会見をしていた。マイクを持つと、一斉にストロボがたかれる。光が満ちて、宴の前の儀式のようだ。

「4回転サルコウは少し練習してきたので。まだ(フリーのプログラムに)入れるか確定じゃないですけど。明日の練習とか、会場の温度や氷の状態、自分の感覚で確かめて決めたいと思います」

 マイクを手にした紀平梨花は、具体的に質問される前に、自ら「4回転」について言及した。何か手応えがあったのか、リップサービスか。大会前日練習では、曲かけで失敗したものの、練習中に一度、見事に降りてみせた。

今季もグランプリファイナル出場を狙う紀平梨花 ロシアの女子選手たちを中心に巻き起こった「4回転時代」に、紀平はどう挑むのだろうか?

 11月21日、真駒内アイスアリーナ。NHK杯の前日練習、紀平はリンクで少し滑ったあと、一番早くに白い上着を脱いだ。エメラルドの宝石を布にしつらえたような衣装があらわになった。黄金が散りばめられているようにも映る。颯爽と滑り出すと、一つに束ねた長い髪が揺れた。

「ショートもフリーも、ノーミスが目標。昨シーズンは、ともにノーミスはできなかったので、それをできるようにしたいです」