2019.11.02

髙橋大輔、西日本選手権欠場。思い出す昨シーズン終了後の言葉

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 10月31日、髙橋大輔(33歳、関大KFSC)は西日本選手権(滋賀県立アイスアリーナ)を欠場することを急遽、発表した。

「左足関節捻挫および左足関節外側靱帯損傷」

 30日の練習中に左足首をひねったという。1週間の絶対安静が必要。シングルスケーターとして最後の舞台になる12月の全日本選手権に向け、万全を期した格好だ。

 一番、苦い思いを感じているのは、髙橋本人だろう。

西日本選手権の欠場を発表した髙橋大輔 シングルスケーターとしての終焉が近づくなか、自らを追い込んできた。ショートプログラムは激しいロックビートの「The Phoenix」をあえて選択し、当初は「後悔しています」と笑っていたものの、10月の「カーニバル・オン・アイス」では見違えるほどに完成度を高めていた。難しい演技に挑み、仕上がりは悪くなかった。

 それだけに、大会直前での欠場は無念だろう。

 しかし、髙橋はこれまでも苦難を乗り越えることで、男子フィギュアスケートの伝説を作ってきたのだ。

 岡山県の倉敷でスケートを始めた時、髙橋は専門的な指導はほとんど受けていない。ほとんどすべて、独学で学び取った。基本練習にしつこく打ち込むことで安定した滑りを手にしたが、フィギュアスケートがマイナーの域を出なかった時代、すべては手探りだった。

 その環境で、髙橋は世界に打って出て、男子フィギュアスケートの人気を定着させている。4回転ジャンプに果敢に挑み、失敗してもひるまなかった。華やかなステップは世界のスケートファンを魅了。そして五輪でメダルを取り、世界王者にもなり、後輩たちの道を大きく広げた。