2019.10.30

本田真凜は笑顔で次戦に向かう。
アクシデントを乗り越え手にした自信

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 三原舞依の欠場でスケートカナダ出場のチャンスが巡ってきた本田真凜。だが、予想外の厳しい状況のなかで戦うことを強いられた。現地到着後の22日夕方に、田中刑事らと乗っていたタクシーが事故を起こしてしまい、後部座席の中央にいた本田は右脛とおでこを強打し、首にも影響が出たのだ。

アクシデントがあったが、スケートカナダで競技をやり切った本田真凜 それでも「どうやって自分が気持ちを強く持てるかを、試されているんだという気持ちで頑張りたい」と語り、競技初日のショートプログラム(SP)に臨んだ。

 最初の3回転ループからの連続ジャンプは決めたかに見えたが、セカンドの3回転トーループは回転不足の判定。さらに、次の3回転フリップが2回転になって0点になるミス。後半に入ってからのダブルアクセルから何とか立て直したが、59.20点で10位発進となってしまった。

「事故のあとはちょっとした音や光が怖くなる瞬間があったりして、スピンもこの3日間は1回も練習できていなかった。緊張より不安という感じで演技をしました。でも、首以外はアドレナリンで痛みもほぼなかったので、思い切り滑れたんじゃないかなと思います。もう少ししたら演技のなかの悔しい部分がどんどん出てくるかなと思うけど、今はとりあえずホッとしています」

 こう話していた本田は、夜になるとめまいのような症状も出てきて体調を崩した。スタッフにも無理をしないほうがいいとアドバイスをされ、翌日の試合前は、ホテルから会場に向かうバスの出発時間30分前まで、出場するかどうか迷ったという。

「体はどんどんマシになってきていたし、痛みは自分で我慢できるけど、めまいのような症状は自分でコントロールできないのですごく不安でした。でも、自分には棄権する勇気がなかったので、出ようと決めました」